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研削と研磨ガイド

Buehler Literature - 研削と研磨ガイド
研削は、平坦性を得るため、微細グリッドの砥石から開始し、数分以内にセクショニングの影響を取り除きます。研磨材の180-240(P180-P280)は、研削ホイールでセクショニングされた試験片の表面にには十分な粗さがあります。弓のこや帯のこで切ったものやその他の粗い表面には、通常120-180(P120-P180)の研磨材を使います。継続して研削する場合の研磨材サイズは、その前で使用した研磨材より1〜2段階小さめにする必要があります。継続して十分な研削作業を行うには、240、320、400、600(P280、P400、P800、P1200)のSiC研磨紙が入用です。この一連の作業には、「伝統的な」方法が用いられます。

研磨切断では、水が微細構造の構成要素に影響を与えない限り、研削の全工程を湿式で行います。水の使用で試験片の加熱を抑え、研削面に、試験片から削り取られた金属が付着するのを防ぎます。

各研削ステップで損傷が発生するため、前回の損傷は必ず取り除きます。損傷の深さは研磨材の粒度に応じて下がりますが、切削率も減少します。規定の研磨材粒度で、得られた損傷の深さは硬質材料のものより軟質材料の方が大きくなります。

複数の試験片ホルダーを使用し準備を自動化した場合の初期ステップは、プレナー研削と呼ばれます。このステップでは、ホルダーの全ての試験片に共通する表面を確立し、セクショニングの損傷を取り除きます。そうすることで、続くステップで試験片への影響が均一になります。プレナー研削には一般的に炭化ケイ素とアルミナ研磨紙が用いられ、非常に効果的です。上記の研磨紙以外にも、多くの選択肢があります。試験片のプレナー研削用には、一般的なアルミナまたは炭化ケイ素砥石を選ぶこともできます。適切に切断するには、砥石を ≥1500 rpm で高速回転させる特殊用途の機械が必要です。砥石にダイヤモンド工具を装着し、平坦性を維持し研削面を回復しながら、効果的な研削を行います。

プラナー研削段階やその後のステップでは、SiC 研磨紙の代わりに他の材料も使用されています。セラミックや焼結炭化物のように非常に硬い材料の場合、240〜9µmの金属結合または樹脂結合ダイヤモンドディスク(従来タイプ)を1枚あるいは複数枚用いることができます。従来の金属または樹脂結合ダイヤモンドディスクは、表面にダイヤモンドが均一に広がっています。Apex DGDとApex DGD Color は、仕様が320から0.5µm で、様々な材料に適した樹脂結合ダイヤモンド研削ディスクも用意されています。タイプの異なる UltraPrep ディスクは、ディスク表面の小さなスポット内のダイヤモンド粒子が、表面張力を軽減します。UltraPrep 金属結合ディスクは、125から6µmまで6つのダイヤモンドサイズが、一方 UltraPrep 樹脂結合ディスクは、30から 3µmまで3つのダイヤモンドサイズがあります。プレナー表面が得られたら、より細かいSiC研磨紙を使わない単独ステップが複数あります。これらには、プラテン、厚手のポリエステル布、絹、または硬い研削ディスクが含まれます。それぞれ、中間サイズのダイヤモンド、一般的には9〜3µmを使います。

研削メディア

材料準備で使用される一般的な研磨材は、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al203)、エメリー(Al2O3 - Fe3O4)、複合セラミックとダイヤモンドです。エメリー研磨紙は、切断効率が低いことから、今日の材料準備ではほとんど使われません。SiCは、酸化アルミニウムに比べ耐水紙として手に入りやすくなっています。これらの研磨材は、多様なサイズの紙、重合体や布などで作られたディスクに装着されています。研磨材を結合材料に埋込んだ標準的な研削盤で作られたものは、利用が限られます。研磨材は、あらかじめスラリーや懸濁液を混ぜた研磨材で研削面を帯電させて使う方法もあります。SiC粒子、特に細かい研磨紙は、Pb、Sn、Cd、Biなどの軟らかい材料の埋込が容易です(図3.1参照)。ダイヤモンド研磨材とこのような軟らかい材料やアルミニウムの埋込みにも問題がありますが、主としてスラリーとけばのない布が使われます(図3.2参照)。
図3.1 6061-T6 アルミニム溶接物(矢印)に埋込まれたSiC粒子(500X、水性 0.5% HF)。
図3.1 6061-T6 アルミニム溶接物(矢印)に埋込まれたSiC粒子(500X、水性 0.5% HF)。
米国製の炭化ケイ素研磨紙は、通常ANSI/CAMI基準(B74. 18-1996)に準拠して製造されており、欧州製は、FEPA基準(43-GB-1984, R 1993)に準拠して製造されています。どちらの基準も研磨材の粒度単位は同じものを使用しており、これらの機器のキャリブレーション基準も同じです(一番粗い砂粒のふるい分け、中間砂粒(240-600 [P280-P1200])の堆積グレード、微細砂粒サイズ用電気抵抗法)。
図3.2. 鉛に埋込まれた 6µm ダイヤモンド粒子(矢印)(1000X)。
図3.2. 鉛に埋込まれた 6µm ダイヤモンド粒子(矢印)(1000X)。
砂粒サイズ番号は、180砂粒(P180)より上から一致しなくなりますが、表3.1で相当するサイズが分かります。

このチャートは、ANSI基準 B74.18-1996 の ANSI/CAMIグレード紙のサイズ範囲と、FEPA基準 43-GB-1984(R1993)のFEPA グレード紙の中間点を表しています。ANSI/CAMI基準には、SiC粒子サイズ600まで記載されています。より細かい ANSI/CAMI 研磨紙は、CAMI 冊子『研磨紙』(1996)に粒子サイズが掲載されています。※P2500より細かい FEPAグレードは基準がなく、製造者が任意にグレード分けをしています。上記の基準値はガイドラインであり、それぞれの製造者が、異なるサイズ範囲と平均値に従って作業をすることになります。複数の基準値がありそれらの使用は義務ではありませんので、製造者は、特定の仕様に従うのではなく、研磨紙の中から異なる平均粒子サイズを選んで使用することができ、実際にそうしています。二つのシステムには基本的な考え方に相違があります。ANSI/CAMI 研磨紙は、FEPA研磨紙よりも広い粒度分布を採用しています(平均サイズで中央位置)。範囲が広いため、狭い範囲のものより低い圧力で切断開始が早くでき、熱の発生と損傷が少なく抑えられます。しかし、範囲が広いため損傷も大きくなりますので、準備工程の次の段階で取り除きます。特定の研削工程後では、構造への損傷が少ない方が、表面仕上げより重要だと考えられています。準備が終了した段階で、本来の微細構造の観察を妨げる、試験片の残存損傷になるからです。
このチャートは、ANSI基準 B74.18-1996 の ANSI/CAMIグレード紙のサイズ範囲と、FEPA基準 43-GB-1984(R1993)のFEPA グレード紙の中間点を表しています。ANSI/CAMI基準には、SiC粒子サイズ600まで記載されています。より細かい ANSI/CAMI 研磨紙は、CAMI 冊子『研磨紙』(1996)に粒子サイズが掲載されています。※P2500より細かい FEPAグレードは基準がなく、製造者が任意にグレード分けをしています。上記の基準値はガイドラインであり、それぞれの製造者が、異なるサイズ範囲と平均値に従って作業をすることになります。複数の基準値がありそれらの使用は義務ではありませんので、製造者は、特定の仕様に従うのではなく、研磨紙の中から異なる平均粒子サイズを選んで使用することができ、実際にそうしています。二つのシステムには基本的な考え方に相違があります。ANSI/CAMI 研磨紙は、FEPA研磨紙よりも広い粒度分布を採用しています(平均サイズで中央位置)。範囲が広いため、狭い範囲のものより低い圧力で切断開始が早くでき、熱の発生と損傷が少なく抑えられます。しかし、範囲が広いため損傷も大きくなりますので、準備工程の次の段階で取り除きます。特定の研削工程後では、構造への損傷が少ない方が、表面仕上げより重要だと考えられています。準備が終了した段階で、本来の微細構造の観察を妨げる、試験片の残存損傷になるからです。
多くの標準と同様に、それらは必須ではなく、製造業者はこれらの仕様で定義されたものとは異なる平均粒子サイズにいくつかの用紙を作成できます。 2つのシステムには哲学的な違いがあります。 ANSI / CAMI用紙は、FEPA用紙よりも広い粒子サイズ分布(平均サイズを中心)を使用します。 サイズ範囲が広いと、狭いサイズ範囲よりも低圧で切断をより速く開始できるため、発熱が少なく、損傷が少なくなります。 ただし、サイズ範囲が広いほど、傷の深さの範囲が広くなります。 ただし、これらは準備シーケンスの次のステップで削除する必要があります。 構造の損傷が少ないことは、特定の研削ステップ後の表面仕上げよりも重要であると考えられています。これは、準備シーケンスの最後に実際の微細構造が見えなくなるのは、試験片の残留損傷だからです。

研削機器

図3.5 アニールCPチタンにおける準備損傷(矢印) (500X、DIC、Kroll'試薬)。
図3.5 アニールCPチタンにおける準備損傷(矢印) (500X、DIC、Kroll'試薬)。
プレナー研削機、図3.3に示したPlanarMet 300のような研削機、迅速な試料研削をするため、固定砥石を使用。このタイプの自動研削機は、従来の研削ステップ3つ分に相当するプレナー試料を、1〜2分で作成します。このタイプは、ベンチトップや床置きが可能で、次のステップへの推移を統合した研削・研磨機として、通常は同じ試料ホルダーが利用できます。学生がよく使う文房具の研磨紙は短冊やロール状になっています。工業用に使うことは稀です。試験片は、上部から底部へ研磨紙で磨きます。双方向に研磨するより一方向の方が、通常は平坦性が維持されます。この方法は、デリケートな材料の場合は乾式でも可能ですが、試験片の表面温度を上げずに研削くずを取り除くため、通常は水を使います。
図3.3 PlanarMet 300 プレナー研削機
図3.3 PlanarMet 300 プレナー研削機


ベルト研削機は、多くのラボで見かけられます。このタイプのデバイスは、60(P60)から240(P280)の粗い研磨紙を使用し、主にセクショニング熱傷の除去、検査用に保存が不要なエッジの研削、深い食刻の切断面の平面化、セクショニング損傷の除去に用いられます。
図3.4 EcoMet 250 研削・研磨機
図3.4 EcoMet 250 研削・研磨機


ラッピングは、研磨粒子がキャリアディスク面上を自由に転がることを利用した研磨技術です。ラッピングでは、ディスクにダイヤモンドや炭化ケイ素のような硬い研磨材が少量装着されます。ラッピングディスクは様々な材料で作ることができ、鋳鉄とプラスチックが最も一般的に用いられます。ラッピングは、研削よりも試験片の表面を平坦化できますが、メタルの除去は研削と同じ方法ではできません。ラップと呼ばれるプラテンによっては、キャリア内で、ペースト、油性懸濁液や水性懸濁液などのダイヤモンド研磨材が装着されている場合があります。最初はダイヤモンド粒子がラップ表面を転がります(他の研削表面同様)が、すぐに組み込まれ、表面から発生したマイクロチップを切断します。
図3.5 アニールCPチタンの準備損傷(矢印)(500X、DIC、Kroll試薬)。
図3.5 アニールCPチタンの準備損傷(矢印)(500X、DIC、Kroll試薬)。

研磨

研磨は、平坦で傷がなく、鏡のように見えるゆがみのない表面を作る最終段階です。本来の微細構造を観察し、その後に解釈やテスト・分析をするには、質的にも量的にも上記のような表面が必要です。
図3.6 常温引き抜き真ちゅう(Cu-20% Zn)試験片の表面の孔食(矢印)(100X)
図3.6 常温引き抜き真ちゅう(Cu-20% Zn)試験片の表面の孔食(矢印)(100X)
使用する研磨技術は、不安定金属(図3.5)、孔食(図3.6)、残像「コメット・テール」(図3.7)、染み(図3.8)、起伏(成分間や穴部と成分間の高さの差異)(図3.9)などの外来構造には使用しません。研磨は通常、複数のステップで実施します。 
図3.7 アニールH13工具鋼試験片の一般的なコメット・テール窒化物(200X、DIC)。
図3.7 アニールH13工具鋼試験片の一般的なコメット・テール窒化物(200X、DIC)。
図3.8 Ti-6% Al-2% Sn-4% Zr-2% Mo で準備した試験片の表面上に染色(矢印)(200X)
図3.8 Ti-6% Al-2% Sn-4% Zr-2% Mo で準備した試験片の表面上に染色(矢印)(200X)
以前から、粗工程は、けばのない、またはけばの少ない布に6 または3µmのダイヤモンド研磨材を装着して実施します。硬化鋼、セラミック、超硬合金のような硬質材料は、粗工程を1回多く行う必要があります。初期の粗工程の後に、けばのない、けばの少ない、またはけばが中位の布を使った1µmのダイヤモンド研磨が実施できます。混合可能な潤滑剤は、表面の過熱や変形を防ぐため、慎重に使用します。

中間研磨を念入りに行うと、仕上げの時間が短縮されます。マニュアルまたはハンドでの研磨は、通常回転ホイールを使って行い、オペレーターが円軌道カウンター内の試験片を、ホイール回転方向に回転させます。

機械研磨

細かい研磨布を使った多様な研磨手順を説明する場合、「機械的研磨」という言葉がよく用いられます。研磨布は、回転ホイールや振動研磨ボウルに取り付けることができます。以前は、布をホイール上に伸張させてプラテン面の調節クランプに取り付けるか、感圧接着剤(PSA)、磁石、高摩擦接着で布の裏面を固定していました。研磨中に、圧力がかかった状態で布が動くと、切断効果が下がります。自動研磨ヘッドを使用すると、マウントされていない試験片を準備する場合は特に、伸張布がより裂けやすくなります。機械的研磨においては、試験片を手で持つか、機械的に固定する、またはVibroMet 2 研磨機を使用する時のように、研磨領域内に限定します。
図3.9 レリーフのない例 a) ミラーレリーフ b) 打ち放しAl-19.85% Si 試験片の過共晶シリコン粒子、エッジ(200X、水性 0.5 HF)。
図3.9 レリーフのない例 a) ミラーレリーフ b) 打ち放しAl-19.85% Si 試験片の過共晶シリコン粒子、エッジ(200X、水性 0.5 HF)。
図3.10 ひけによる空洞を含むろう付けされた試験片におけるレリーフ制御の差異:a) 制御不十分、2) 制御十分(100X glyceregia)。
図3.10 ひけによる空洞を含むろう付けされた試験片におけるレリーフ制御の差異:a) 制御不十分、2) 制御十分(100X glyceregia)。

手動の「ハンド」研磨

改良版研磨布や研磨材を使う以外に、何年も前に確立された基本的な手順に基づくハンド研磨技術があります。
      試験片の動き 試験片を、片手または両手で持ち(オペレーターの好みによる)研磨ホイールの回転方向に回します。さらに、試験片をホイールの中心とエッジの間で絶えず前後に動かし、研磨材が均一に散布され研磨布が一様にかかるようにします。(試験片をホイールの中心から一辺のエッジまで動かす間、手首の小さな回転を利用することもあります。)各ステップが終わったら、試験片を45度から90度に回転させ、研磨材が単方向にならないようにします。
      研磨圧 どのくらいの圧力が適切かは、経験によって決定します。一般的に、手でしっかりと試験片に圧力をかけます。
      洗浄と乾燥 試験片は液体洗剤と雑巾で洗浄し、温水の流水ですすぎ、エタノールで洗浄した後温風で乾燥させます。研磨材キャリアが水溶性でない場合、または試験片に耐水性がない場合は、通常アルコールを使って洗浄します。試験片が多孔質の場合や砕けている場合は、超音波洗浄が必要になることがあります。
      清浄度 前述した通り、汚染防止の措置として、洗浄度は厳密に守らなければなりません。試験片、ユーザーの手、機器類が対象になります。

自動研磨

図3.11 EcoMet 300 研削・研磨機とAutoMet 300 パワーヘッド。
図3.11 EcoMet 300 研削・研磨機とAutoMet 300 パワーヘッド。
機械式研磨は、比較的簡便なシステム(図3.11)からより洗練された、プログラム可能なタイプやタッチスクリーンで作動するものまで、高度な自動化が可能です。ユニットには、扱える試験片が1体から6体、またはそれ以上まで種類があり、全ての研削・研磨に使用できます。これらの機器を使用することで、オペレーターは手動研磨より質の高い試験片の準備が1日で多数できるようになり、消耗品費も削減されます。自動研磨機器は、最高の表面平坦性とエッジ保存を生み出します。試験片の扱い方は、二通りあります。中心力で試験片ホルダーと各試験片をしっかりと固定します。ホルダーは、ホルダー全体にかかる力で、準備する表面に対し押し下げられます。中心力が、最高のエッジ保存と試験片の平坦性を作ります。エッチング後の結果が不十分だった場合、試験片をホルダーに戻し、全ての準備の手順を繰り返さなければなりません。それをする代わりに、多くの技術者が行うのは、手作業による最終段階の繰り返しと、試験片の再エッチングです。

2番目の方法は、試験片を緩く取り付けた試験片ホルダーを利用します。各試験片にピストンで力を加えるため、この方法は「個別またはシングル・フォース」と呼ばれます。この方法は、次の段階で試験片全部の平面性を再取得する問題がなく、準備サイクルの一貫として個別の試験片を調べるのに便利です。また、エッチング結果が不十分だと思われる場合、平面性は集合的にではなく個別に達成されるため、ホルダー内の試験片を取り替えて直近の工程を繰り返すことができます。この方法の難点は、試験片、特に顕著な高さのある試験片がわずかに振動し、エッジ保存と平坦性が落ちることです。

研磨布

良質の研磨布の要件は、研磨材が固定でき、長持ちし、損傷の原因となり得る異種材料や、試験片に反応する可能性のある染料・分粒などの化学物質の混入がないことです。試験片研磨用に、繊維、織り方、けばの異なる布が多数あります。ダイヤモンド研磨材による粗工程には、けばのない、または少ない布が推奨されます。けばのない、少ない、あまり多くない布、時にはけばの多い布が仕上げの研磨に使用されます。このステップは、レリーフを最小限にするため手短にします。表3.2 研磨布リスト、その特徴と用途。

Table 3.2 Polishing Cloth Selection Guide.
*以下の方法の多くで互換性あり。

研磨材

図 3.13 単結晶と a) 多結晶  b) 人工ダイヤモンド粒形の比較(SEM、450X)。
図 3.13 単結晶と a) 多結晶 b) 人工ダイヤモンド粒形の比較(SEM、450X)。
研磨は通常、以下の研磨材のひとつまたは二つ以上を使用します:ダイヤモンド、酸化アルミニウム(Al2O3)、非結晶質二酸化ケイ素(SiO2)コロイド懸濁液。一部の材料には、酸化セリウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化鉄が用いられます。ただ、1920年代後半、ホイット[7]がマサシューセッツ州ウェストリンのカーボリー工場を訪れ、サファイヤベアリングがオイルキャリア内のダイヤモンド粉末で研磨されているのを見たと語っています。ホイットは、焼結炭化物の準備にこの材料を用い、1930年にその様子を出版しました。ダイヤモンド研磨材は最初にキャリアペースト内に導入され、後にエアロゾルやスラリーの形で導入されました。当初は天然ダイヤモンドが使用され、MetaDiダイヤモンドペーストとして現在も入手可能です。後に、初の単結晶形で形態学的には天然ダイヤモンドに類似した人工ダイヤモンドが導入され、後に多結晶形になりました。MetaDi II ダイヤモンドペーストと MetaDi 懸濁駅は単結晶の人工ダイヤモンドを、MetaDi スープリーム懸濁液と MetaDi ウルトラペーストは多結晶ダイヤモンドを使用しています。図3.13は、単結晶と多結晶ダイヤモンドの形状の違いを示しています。複単結晶ダイヤモンドと比較して、多結晶ダイヤモンドを使った方が、多くの材料で切削速度が速いことが、複数の研究で明らかになりました。

図3.14 コロイド状シリカ内の非結晶質シリカ粒子(TEM、 300,000X)。
図3.14 コロイド状シリカ内の非結晶質シリカ粒子(TEM、 300,000X)。
コロイド状シリカは、単結晶シリコンのウエハー研磨に初めて使われました。デバイスが組み立てられる前に、ウエハー表面の損傷を全部除去する必要がありました。シリカは非結晶質で、溶液のpHはおよそ 〜10です。シリカ粒子は実際は球体に近く(図3.14)、化学的及び機械的な理由で研磨に時間がかかります。仕上げの研磨にコロイド状シリカを使用すると、他の研磨材を使うよりも容易に傷のない表面が得られます。腐食液は、コロイド状シリカで研磨した表面で異なる反応をします。例えば、アルミナで研磨すると粒子コントラストでエッチングする腐食液が、コロイド状シリカで研磨すると「平坦な」エッチングで粒子と双晶境界を出現させることができます。カラー腐食液はコロイド状シリカを使うと反応がよいことが多く、色の種類を増やせばはっきりした画像が得られます。しかし、試験片の洗浄が難しくなります。手動で行う場合は、液体洗剤に浸した綿を使います。自動システムの場合は、サイクル終了前に10〜15秒間、懸濁液を加えるのをやめます。最後の10秒間で、布の表面を流水で流します。すると、洗浄が容易になります。非結晶シリカは、蒸発させると結晶化します。結晶シリカは試験片を傷つけるため、使用は避けなければいけません。ボトルを開ける際、開口部の周りに結晶化した粒子が付着していることがあるので、全てふき取ります。最も安全な方法は、使用前に懸濁液をろ過することです。結晶化を最低限に抑えるため、MasterMet 2 コロイド状シリカのように、添加剤で結晶化の速度を大幅に遅らせることができます。

定期検査なら、準備の最後のステップで、1µm程度の微細ダイヤモンド研磨材を使うとよいでしょう。従来、MicroPolish II 解砕アルミナ粉末と懸濁液のような水性の微細アルミナ粉末と懸濁液が、けば立ちが中位の布と仕上げ研磨に使用されてきました。仕上げ研磨には、連続研磨か単独かを問わず、アルファアルミナ(0.3µm)とガンマアルミナ(0.05µm)スラリー(または懸濁液)が一般的です。MasterPrep アルミナ懸濁液は、ソル・ゲル法で生成したアルミナを活用しており、伝統的な焼成工程で生成したアルミナ研磨材に比べ、よい表面仕上げができます。か焼アルミナ研磨材は、解砕努力の有無にかかわらず、常にある程度の集塊がありますが、ソル・ゲル法のアルミナにはこのような問題はありません。MasterMetコロイド状シリカ懸濁液(〜10pH)は、仕上げの研磨材としては比較的新しく、機械的にも化学的にも反応するため、特に準備が困難な材料の場合に有用です。振動研磨機(図3.15)は、仕上げ研磨、特に準備が困難な材料に用いられることが多く、画像解析研究や高品質作業の発表に役立ちます。

振動研磨

図3.15 VibroMet 2 振動研磨機。
図3.15 VibroMet 2 振動研磨機。
電解研磨と同様、振動研磨は、ほとんど苦労することなく変形のない優れた表面がを作ります。電解研磨より振動研磨が優れている点は、有害化学物質を必要とせず、どのような材料または混合材料にも適していることです。VibroMet 2 研磨機は、垂直運動のないほぼ100パーセント水平な、高振動数、変動振幅、振動運動を生み出します。試料の研磨がストレスなく進みます。介入のない状態で数分から数時間経過すると、試料の表面が美しく仕上がりエッジの輪郭もはっきりします。

図3.16 EBSD分析で得た菊池パターン。
図3.16 EBSD分析で得た菊池パターン。
研磨は通常、微細ダイヤモンドスラリーか、MasterMet,、MasterPrep、 MicroPolishなどの酸化物の懸濁液を用います。振動研磨は、特に感光性や延性の材料の準備に適しています。この技術を用いて研磨した試料は、電子後方散乱回析(EBSD)やナノ・インデンテーション硬さ試験などの高精密分析に適しています。このような技術は、通常の準備技術では直接観察できない、表面のわずかな変形にも非常に敏感です。図3.3は、振動研磨ステップによる回析バンドコントラストの改善を示しています。図3.16は、振動研磨したフェライト鋼を示しています。

準備方法

図3.17 振動研磨で準備した鉛合金。
図3.17 振動研磨で準備した鉛合金。
試料を振動研磨する前に、仕上げ研磨を含め、この本に述べられている方法を使いで、適切に準備する必要があります。質の高い試料を準備することが、この技術の基本です。上述したように、振動研磨は、通常1から0.02ミクロンまでの微細ダイヤモンドまたは酸化物懸濁液に特化しています。
図3.18 振動研磨したフェライト鋼、方位地図の正常方向と重ねた電子画像 相 α - Iron。
図3.18 振動研磨したフェライト鋼、方位地図の正常方向と重ねた電子画像 相 α - Iron。


通常の機械的準備方法における仕上げ段階と、同じ懸濁液の使用が推奨されます。過酸化水素や他の腐食液のような化学添加剤を使用する場合、VibroMet 2 への追加は任意です。振動研磨は通常、化学添加剤を追加せずに行われます。懸濁液は研磨布に十分に分散させること、また酸化物懸濁液を使用する場合は、研磨布が研磨サイクルの間、しっかりと湿った状態を保つよう、特に注意を払う必要があります。これができないと、懸濁液の一部が結晶化する可能性があります。振動研磨用の一般的な化合物は、MasterMet 2 - 結晶化を防ぐ添加剤が入った、0.02µmのコロイド状シリカ懸濁液です。

表3.3:バンドコントラスト(0-255)。
表3.3:バンドコントラスト(0-255)。


研磨布は、 植毛織物やけば立った布(MicroFloc、MicroCloth、MasterTex、VelTexなど)を選びます。そのような布の繊維が、プラテン上の試料の動きを容易にし、安定した研磨結果が得られます。
図3.19 試料重量と試料準備。
図3.19 試料重量と試料準備。


試料そのものの重量またはおもりを追加して、資料に圧力をかけます。試料の硬さが十分あり全質量が最低でも4 N(0.4 kg)必要です。重量が少なすぎると、試料は研磨中に腐食する、あるいは光沢を損なうことがあります。

振動研磨時間は様々な要因に依存しており、特に決まったルールはありません。主な要因の一つは振幅強度で、これはユニット上で調節します。この値は、研磨時間に直接影響する振幅の強度を変更します。新しいあるいは未知の材料の場合、経験を基に時間を決定します。通常、研磨条件が正しければ、振動研磨開始から30分以内に、著しい改善が見られます。試料は、その後光学顕微鏡か走査型電子顕微鏡で検査が可能です。研磨の質が十分改善されない場合は、研磨サイクルを繰り返すか、研磨条件を修正してください。
図3.20 試料ホルダーの準備と荷重。
図3.20 試料ホルダーの準備と荷重。

電解研磨とエッチング

電解研磨とエッチング。電解研磨やエッチングは、電解質による電気回路が完了することで達成できます。試験片は回路の陽極に設定します。電流が通じると、陽極で化学物質の酸化反応が起き、電解質と接している試験片表面の金属が溶解します。

以下のような反応が起こると、結果に重大な影響を及ぼします。それらは、
図3.21 試料における電流密度と電圧の影響 研磨の最適領域が遮断される。低い電圧で試料がエッチングされる。過剰電圧で電解質内に空間ができ、不規則な密度による孔食が起きる。
図3.21 試料における電流密度と電圧の影響 研磨の最適領域が遮断される。低い電圧で試料がエッチングされる。過剰電圧で電解質内に空間ができ、不規則な密度による孔食が起きる。
    電流密度(研磨領域に関して)
  • 電圧
  • 時間
  • 電解質組成、粘性と温度
  • 電解質の動き(反応領域における電解質を「リフレッシュ」する)
図3.21の略図は、そのような研磨セル内の電流密度と電圧の関係を示しています。電圧が低いと金属の急速な溶解がエッチングに影響し、材料の異なる領域が異なる速度で除去されます。
図3.22 EBSDで検査した電解研磨フェライト鋼(方位地図正常方向と重ねた電子像 相:α鉄。
図3.22 EBSDで検査した電解研磨フェライト鋼(方位地図正常方向と重ねた電子像 相:α鉄。


電圧が上がると不動態化のプロセスが反応性質を変化させ、研磨効果が現れます。この場合、表面の突起が優先的に溶解し、微視的に見ると表面が滑らかになっています。これは純粋に化学効果であるため、このプロセスに関連して機械的損傷が起こることはありません。このように、電解で研磨された表面は、わずかな変形も許容できない高感度試験には、特に有用です。
電圧がさらに上がると、不動態化層が崩れて酸素が放出され、試験片の表面に孔食が起きる結果となります。
図3.23 アルミニウム鋳込条件、バーカー電解液 40Vで460秒、陽極処理によって出現した着色樹状突起(偏光、25X)。
図3.23 アルミニウム鋳込条件、バーカー電解液 40Vで460秒、陽極処理によって出現した着色樹状突起(偏光、25X)。
正確な測定で、素早く効果的な電解研磨とエッチングプロセス、た高い再現性が得られます。これまで、金属組織学における電解研磨は、主に研磨が難しく、化学物質の腐食液でエッチングする超合金やステンレス鋼などの材料の工程検査で行われてきました。基準の高い機械研磨が難しい軟性材料も、理想的な候補です。近年、このプロセスは、EBSDのような結晶学的分析やナノ・インデンテーション硬さ試験などの表面結晶化試験への需要が伸びているため、金属組織学的に著しく成長しました。上記の試験で最高の結果を得るには、変形のない表面が必要です。

電解研磨の再現性とエッチングプロセスの効果を最大にするには、条件を良好に管理することが求められます。これは、良質の電源供給ユニットと研磨またはエッチングセルからなり、解質の動きと試験片の領域を効率的に管理する専用機器を用いることで、ほぼ達成できます。図3.24は、そのようなセルを示しています。作業中は熱が発生するため、温度管理と電解質冷却機能が統合された機器の使用をお勧めします。
図3.24 電解質は、陰極(ー)と試料(+)の間を循環ポンプで運ばれます。電解質の流れが揃うと材料の破片が勢いよく流され、試料の湿式環境が均一になります。
図3.24 電解質は、陰極(ー)と試料(+)の間を循環ポンプで運ばれます。電解質の流れが揃うと材料の破片が勢いよく流され、試料の湿式環境が均一になります。
統合型冷却機能が、電解質が過熱するのを抑えます。電解研磨で一般的に用いられる化学物質のひとつに、過塩素酸があります。これは高温(>100°F [38°C])や過度の蒸発などで高濃度になると不安定になります。マウントメディアなど、有機材料と接触する場合は、不安定な過塩素酸塩が生成され電解質を蓄積するため、過塩素酸の使用は避けます。

フェライト系材料の電解研磨の一般的な手順
  • ステップ1:研磨機上で、400(P800)と 600(P1200)のSiC研磨紙 で研削(各60s)。
  • ステップ2:電解研磨システム ElectroMet 4(図3.25)で電解研磨、30Vdc  で60秒。


図3.25  ElectroMet 4 電解エッチング研磨機。
図3.25  ElectroMet 4 電解エッチング研磨機。
電解研磨表面が波状になることがあり、拡大率が高いと問題になります。電解研磨はエッジや孔を滑らかにする傾向があり、非金属含有物を洗い流します。二相以上の合金は、相が優先的に攻撃されるため、研磨がさらに難しくなります。従って、電解研磨は故障解析には向きませんが、最終段階で変形を除去するため、仕上げ研磨として数秒間使用することができます。

陽極処理

陽極処理のプロセスは電解研磨とエッチングに関連しており、当該試験片を電気回路内の陽極としてセットします。しかし、この場合の目的は表面上に酸化皮膜を作ることです。酸化皮膜を偏光下で見ると、干渉効果が発生し、相または結晶方位の間に明暗差と色が発生します。これは、アルミ合金のプロセスに特に一般的ですが、チタンやジルコニウム合金のような他の材料にも使用されています。

研削・研磨に役立つヒント

クラックや孔がありでエポキシが充填されていない試験片は、次のステップで汚染が起きないよう、孔やクラックから研磨材と破片を除去するため、超音波洗浄が必要になる場合があります。

過度の超音波洗浄振動は、軟性の金属や合金、特に貴金属の構造を損傷することがあります。

密着した布は、お湯に数分浸して剥がします。新しい布を張る前にプラテンに剥離剤を塗ることもできます。

追加情報

詳細は、ビューラー研削・研磨機とビューラーSumMetガイドをご参照ください。